「それでレミはオレにどうしろって言うんだ?」

「気になるのよ」

あたしはハンカチを握り締めて、じっと達郎を見据えた。

あたしは確かにオバケは苦手だけど、それを信じるほど子供じゃない。

「範子の話には裏があるって言うのか?」

「確証があるわけじゃないけど…」

確証はない。

でも気になる。

「刑事の勘ってヤツか」

達郎の言葉にあたしはうなずいた。

達郎はふぅむ、と唇を尖らせた。

「範子は泉田の事を隠そうともしなかったんだよな?」

「こっちが拍子抜けするぐらいね」

「範子と泉田は不仲なのか?」

「そこまではわからないけど…」

でも前科者の愛人なんて、厄介払いしたいと思うのが普通だろう。

「だったら、最初から部屋に入れたりしないんじゃないか?」

「泉田に脅されたんじゃないかな」

泉田は前科持ちの悪党。

『俺と別れようとしたらどうなるか分かってるんだろうな?』