神経が切断されて、引きちぎられて、こよりのようにねじられるような痛みが、引っ張られるたびに美幸を襲う。立っていられないから崩れる。

すると、兄は容赦なく美幸を引きずった。折れている腕を、そのまま引っ張って。

「あああああっ、ひっ、いだああああっ、ひぃあっ、ぃやあああっ、ぃぁぁぁぁああああああ――――――っ!!」

狭い螺旋階段に、美幸の声は何重にも響いた。石造りらしい階段の冷たさを頬に味わいながら、涙して、悲鳴をあげて、肩がもげそうで、これはいっそ夢だと思った。思いたかった。

もしかしたらまた、疲れのせいで眠っているのかもしれない。だとしたら早く起きたい。こんなのは悪夢だ。

兄が自分の腕をへし折り、化け物の少女とともにいるなど、ありえない。

ありえない。

ありえない。

その思いは、

「ひゃ、あ、ひ、ゃ、ぅうあうぅ、ぃぃいああああああああああ……いやああああ……!」

意味を作れない悲鳴でしか吐き出せず、

「美幸、うるさいぞ」

兄に、叱られた。

同時に――

ご、ぎ。

「きゃっ……?」

じゃくり。

――美幸は、首をへし折られ、頭部を胴からちぎり取られた。