「支社から移動して来た人なんですけどね!…………」





興奮気味に言うコイツの話を聞き流していた。





「わかったから仕事しろ。」


「へいへーい。」





適当に返事をし、追い返した。





まったく………ベラベラと…。





きりがいいところで、仕事を中断し喫煙所に向かった。





静かな空間は煙を吐く息遣いしか聞こえない。





そんな時、ガチャリとドアを開ける音が聞こえ自然と目を向けた。





「久しぶりね。半年……一年ぶりぐらいかしら?」





腕を組み、話しかけてくる女。





「相変わらず冷たいのね。全く変わってないけど、そこがいいのよね。」





カツンカツンとヒールを鳴らし、ゆっくりと近づいてくる。





「冴子……。」


「あら、ビックリしてるなんて珍しいわ。社内の噂聞かなかったの?」


「噂?」


「今度の企画課の主任は聡明で仕事が出来るって。それと……高杉樹の元彼女だって。」





慣れた手つきでタバコを取り出し火をつけ、煙を吐き出した女……木島冴子、俺の元カノ。