「西園寺…さんだよね?
顔色悪いけど大丈夫?」

心配そうに樋野は棗の顔を
覗き込む。

「たす…けて…」

思わずそう呟いて棗は
意識を失った。

突然倒れた棗に登校時間中の
周囲は騒然となる。
ちょうど登校してきた瑠璃は
玄関の人だかりに目がいった。

なんだろうと思いながら
覗き込むと円の中心には
樋野と棗がいた。
人を掻き分けて2人の所へ行く。

「どうしたんですか?」

樋野は目の前で人が倒れたことに
動揺しているようで、
わからないけど、と繰り返えす。
瑠璃は前にも棗が気分悪そうに
していたのを思い出した。

「いつものことだよ」

騒ぎを聞いて玲もやってきた。

玲が人だかりに近づくと
誰ともなく自然に道をあける。
そうして棗たちに近付くと
慣れた手つきで棗を抱えた。

「保健室に連れてく」

心配そうに見守る瑠璃に言うと、
わたしも行きますと答えた。
その流れに何となく
じゃぁ俺も、と樋野も続いた。