達郎たちのいる店内もクリスマス飾りであふれ、BGMはずっとクリスマスソングだった。

「こんな日に嫌な気分でいたくありません」

亜季はそう言って達郎を見上げた。

「全力を尽くします」

達郎は亜季の顔を見つめて言った。

「何かわかったら連絡します」

達郎は名刺を取り出して亜季に渡した。

就活をはじめた夏に作った名刺だった。

「これ私の名刺です」

そう言って亜季は薄いベージュの名刺をさし出した。

「葉野さんはこれからどちらへ」

「図書館で調べものをしてから、買い物をして帰ります」

友人たちとホームパーティーをするんですよと笑った。

淹れたてのホットミルクのような暖かな亜季の笑顔を見て達郎は思った。

『本当によく似ている』

亜季の笑顔は、達郎の記憶の中にある笑顔とほぼ一致した。