コーチは大雅に気付かずに、そのまま体育館の方へ歩いて行った。






大雅が近付いてくる。


怖い顔して。



めっちゃえらそうに歩きながら、ガム噛んでる。



大雅……


誤解した?


ちゅうか、誤解も何も、大雅にとって私はもう何も関係ないん?




どうでもいい存在なん?






「お前、しょうもな」




すれ違いざまに、大雅が小さな声でそう言った。


はっきり聞こえた。




軽蔑したような、見下したような目で私をにらんだ。




「大雅!!! お願い! 話聞いてや」



「いらんわ。ロリコン大学生とイチャこいとったらええやんけ」




大雅は、冷たい目をしたまま私から遠ざかって行った。