そこで一発、張り手でも食らわせるべきなんだ。

言うことを聞けないなら罰するという厳然たる命令でなくちゃ、俺ぁシビれない。せっかくチャンスを与えてやっているのに。

担任は、半端なのだ。

「甘ぇんだよ」

と、俺は階段をのぼった。ひとつ下の段に立って、目線が同じになる。

担任は小柄だ。その小柄さで、三十五人の生徒をまとめられると思っている半端さが、なお腹立たしい。

担任の両手首を掴みあげ、壁に押さえつける。

「言っただろ。お前じゃ弱いんだよ」

「……放しなさい」

「言葉だけじゃなくて、行動で示せよ。暴れろ。叫べ。大声で悲鳴をあげて、助けを呼べよ。そしたらやめてやる」

「そんなことまでは……」

やはり、甘い。そして、その甘さの根本でなにを期待しているか、俺は知っている。

俺の目を見ようとしない担任の顎を掴み、正面を向かせた。

驚いて開かれた目が閉じる前に、強引にキスしてやる。

眉間にしわを寄せる担任だが、その唇はためらいながらも開き、俺の舌を迎えた。少し応えもする。

嫌ならば、俺の舌を噛め。俺の急所を、ちょうどいいところにある膝で蹴りあげろ。胸元でまごついている手で引っ掻いてこい。