「奈美ちゃん」

そこで、美幸は止めた。親友の肩を二度、優しく叩く。持ち上がった視線を正面から受け止め、一度、横に首を振った。

「わかったよ、奈美ちゃん……それ以上はいいよ」

「美幸……」

じゃくり。

奈美が鼻を啜ったのが、そう聞こえた。

それからまたしばらく、奈美は泣いた。火傷した肌がジュクジュクに化膿し、その痛みに悶えているように、小刻みに体を震わせながら泣いた。

それが収まったのは、クラスが学校へ帰る、という時になってから。

そして帰りのバスではすでに、奈美は奈美になっていた。半分しか開いていないような、物憂げな眼差しが今は、少し、燃えている。

「美幸」

「なに?」

「捕まえよう」

「うん?」

「私らで犯人、捕まえよう」

それは、親友を目の前で殺された少女の、決意だった。