「児童相談所の職員ってことは、日野巡査の友達って…」
「淑恵には、児童虐待の疑いがかかっているんです」
あたしは認めたくない言葉を口にした。
「学校とかから児相へと相談があったの?」
「いえ、淑恵の隣部屋にその児相の職員が住んでるんです」
あたしは菊村の顔を思い出しながら言った。
やや小太りの、人の良さそうな人物だった。
「安アパートなんで、隣部屋の声が聞こえてくるそうなんですけど…」
淑恵がリカちゃんを怒鳴りつける声が、たびたび聞こえるのだという。
リカちゃんが「ごめんなさい」と泣き叫ぶ声を聞いたのも1度や2度ではない。
「その女の子がいたずらなんかして、叱られたんじゃないの」
「あたしもそう考えました」
実際、菊村もはじめはそう思っていたらしい。
だが、その剣幕がただごとではない。
明らかにしつけの域を越えている様である。
ある日、菊村は淑恵の怒声の後、大きな物音を聞いた。
「淑恵には、児童虐待の疑いがかかっているんです」
あたしは認めたくない言葉を口にした。
「学校とかから児相へと相談があったの?」
「いえ、淑恵の隣部屋にその児相の職員が住んでるんです」
あたしは菊村の顔を思い出しながら言った。
やや小太りの、人の良さそうな人物だった。
「安アパートなんで、隣部屋の声が聞こえてくるそうなんですけど…」
淑恵がリカちゃんを怒鳴りつける声が、たびたび聞こえるのだという。
リカちゃんが「ごめんなさい」と泣き叫ぶ声を聞いたのも1度や2度ではない。
「その女の子がいたずらなんかして、叱られたんじゃないの」
「あたしもそう考えました」
実際、菊村もはじめはそう思っていたらしい。
だが、その剣幕がただごとではない。
明らかにしつけの域を越えている様である。
ある日、菊村は淑恵の怒声の後、大きな物音を聞いた。