「先生……ごめんなさい」



「謝んな……」




私の前髪を右手で持ち上げて、私のおでこに先生は自分のおでこを当てた。




「直、何があっても俺から離れんな。勝手にどっか行くな」





ごめんなさい。


勝手に家を飛び出してごめんなさい。



先生が帰って来るまで待っていれば良かったのに。







「心配したんだから…… 携帯持ってないし、財布も持ってないだろ。本当に心配した……」




「ごめんなさい」





雨が少しだけ小降りになった。


木の葉っぱにたまった雨が時々大粒になって落ちてくる。





「謝るのは俺の方。ごめんな」



「先生は悪くない……」