怒っている訳ではないと言う事が分かっただけでもあたしは嬉しい。

口調は物凄く穏やかだったように感じたから。

もうそれだけで満足だったのに、のに…………だ。


「……佐宗って」

「へ……?」

「案外胸大きいんだな」


………………桜太君が言ったような言葉をなんて言うか知っている。

“全てを台無しにしてしまう、非常に残念な一言”だ。


「余計なお世話よ!」


本当なら桜太君に1発平手打ちをお見舞いしたい所だったけれど、

頭を打っているしこれ以上痛い目には遭わせたくないからやめた。

だからあたしに出来る精一杯の怒りの表現は、扉を力の限り強く開けて出て行く事だけ。

さっきまでの嬉しい気持ちを返せ……!薩川桜太。

変に良い言葉を期待したあたしがバカみたい。