「わたしもわかんないんだけどね…」

 アリサは、腕組みしながら、考えていました。

「のぽたち妖精と違って、人間というのは、競い合って成長していく生き物なんだよ。競い合うから、憎しみが生まれる。憎むから、争いが起こる。その繰り返しなのかもしれない」

 悩みながらそう言ったアリサに、のぽは笑顔で言いました。

「にんげんも、えがおになればいいのにね」

「そうだね」

 アリサは、テレビに目を移しました。

 こうしている間にも、世界のどこかでは、一部の人間の争いに巻き込まれて、怪我をしたり、死んだりする人がいるのです。

 食い止めようとする人もいます。でも、それが成功するかどうかは、わかりません。


 ふと、アリサは、お母さんに言われた言葉を思い出しました。

『そういうことをさせないのが、アリサたち、子どもの役目よ』

 今の世の中の流れを、どこかで断ち切らなければ、いつまでも同じことの繰り返しなのです。とはいえ、言葉で言うほど、簡単に解決できるのではありません。

 今すぐには無理だとしても、子どもである自分たちが変えていかなければいけない、アリサはそう思ったのでした。


「おねえちゃん、のぽ、ねむくなってきちゃった…」

 アリサがそんなことを考えている間に、のぽは、アリサの横で、緑のクッションを枕にして昼寝を始めました。

「こんなところで寝たら、風邪引くよ」

 そう言いながら、幸せそうな笑顔で寝ているのぽを見てると、心が和むアリサでした。