あれから12年が過ぎて、私は今年の5月に16歳になった。

「わ〜!果歩くんだ。今日もカッコいい〜」

「目の保養だよね〜!」

夏休みが終わり新学期が始まって数日。

高校に入って仲良くなった同じクラスの住田 小百合(すみた さゆり)ことさゆちゃんと、仲江 萌(なかえ もえ)こと萌ちゃん。

ふたりが教室の窓の外に目を向けてうっとりしだしたので、その視線の先を追う。

……なんとなく予想はついてるけど。

外で女の子達に囲まれているひとりの男の子。

うわ……。
でたぁ……。

その人を見て、歪んでしまった自分の顔をとっさに元に戻す。

「水牧果歩くん、いいよね〜!」

「あの顔面なら絶対芸能界いけそうだけど、そこらへん実際どうなんだろう〜はぁ〜カッコいい〜」

「……」

毛先を少し遊ばせたベージュ色に染められた髪に、整った顔つき。

身長180センチというスタイルの良さもあり、学年一、いや、学校中で女子から圧倒的人気の男の子だ。

でも……。