「あ、ねぇ、浅海さん。このクマ交換しない?」

「え?」

寧衣くんの突然の提案に頭はハテナマーク。

私のクマにはリボンがついているからどちらかと言うと、女子の私が持ってる方が無難かと思っていたけど。

「いいけど、でもこれリボンついているよ?」

「うん。だからそっちがいいの」

寧衣くんの言葉の意図がわからず首を傾げると、ふたたび寧衣くんが口を開いた。

「リボンついてる方が、帰っても浅海さんと一緒にいる気分になるから」

「な……っ、」

「浅海さんもそれ俺だと思って話しかけてよ」

またそんなことをひだまりみたいな笑顔で言う彼がちょっぴり憎い。

顔が真っ赤なのが自分でもわかってギュッと唇を噛む。

ほんと寧衣くんってあざとすぎるよ。
こんなのきゅんきゅんしない方がおかしいって。

寧衣くんが何か言うたびに、私の胸は締め付けられて。

寧衣くんはどうして私にここまでしてくれるの。

それを聞くのは、今日のこの時間が終わってから。

終わらないでいいのに。

そんなわがままなことを思った。