「なに、それはいかんな。タネを明かすには最初が肝心なんだ」
 すっかり打ち解けた様子の陛下とフローラに引き摺られながら、ショーステージの前に移動する。
「だーかーら! そういう無粋なことはしないで、純粋に楽しみましょう!」
「まったくもってフローラに同感です。陛下は少しばかり、彼女から物事の正しい楽しみ方というのを学んだ方がいい。きっと人生が豊かになりますよ」
「フッ。私は今、これ以上にないほど心豊かだからな。この上はもういらん」
「うわぁー! リア充発言感じワルッ!」
 カラカラとした彼女の笑み触れ、いつの間にか俺の心は長年の曇りが嘘のようにカラリと晴れ渡っていた――。