「はははっ! フローラには敵わねえな。それじゃ俺らは部屋に戻るが、これを持っていきな」
 ユルグさんから差し出されるままに、大きな包みを受け取る。
「これなあに?」
「夕飯をランチボックスに詰めといてもらったんだ。たっぷり二人前入ってっから、部屋でゆっくり食うといい」
 二人前? しかも「たっぷり二人前」ってなんだろう?と、疑問に思ったけれど、私がなにか言うより前、ユルグさんたちは揃ってロビーに背中を向けて歩き出す。
「あ、ありがとう!」
 慌てて去り際のみんなに向かってもう一度お礼を告げる。
「おう、また明日な」
 みんなはヒラヒラと気さくに手を振って、各々の客室に散っていった。
「それじゃフレディ、私もそろそろ休むね。私の部屋の鍵をもらえる?」
「君に鍵は不要だ」
「え、なんで?」
「君は俺と同室だ。鍵の管理は俺がする」
 さぁ私も客室に向かおうかとしたところで、部屋の鍵をぶら下げたフレディが特大の爆弾を投下する。
「っ、どおして私がフレディと相部屋なの!?」
「はねっかえりの監視だ」