「私ね、妊娠が分かってすごく驚いたし、戸惑った。だけど、今ここに帰ってきて少し冷静になって茜と話していたら、この子のことが愛おしく思えてきたの」

自然と手がお腹に伸びる。

「蜜葉、それって……」

「私、この子を産みたい。もちろん、結斗さんには言わずにひとりで育てるつもりよ」

「ひとりで育てるって、そんなに簡単なことじゃないよ?」

「うん。分かってる。けれど心から愛した人の子供だから失いたくないの。この子は、私の希望だから」

「蜜葉……」

茜は私の話を聞いてそれ以上、何も言わなかった。そして、代わりに優しく抱きしめてくれた。