私がそう答えると、ノンちゃんの目がさらに輝く。


「えーっ! マジで!? あんなイケメンなのに!? じゃあ狙い目じゃんっ! アタックしちゃえば!?」


「いや、アタックだなんてとても……っ。向こうは常にお兄ちゃんと一緒にいるし、私とはそんなに話さないから」


そう。昨日は偶然二人きりで話す機会があったけれど、お兄ちゃんもいるし、とてもじゃないけど自分から七瀬さんに話しかける勇気はなくて。


「あー、でもお兄ちゃんがもれなくついてきちゃうのか。お兄ちゃんに隠れて仲を深められないものかな~」


悩ましげに眉をひそめるノンちゃん。


でも仮にお兄ちゃんがシスコンじゃなかったとしてもきっと、仲良くなるなんて無理だよね。


七瀬さんのような大人の人が、私みたいな高校生を相手にしてくれるとは思えないし……。


昨日は『仲良くしてね』なんて言われたけど、あれもきっと社交辞令なんじゃないかと思う。


次いつうちに遊びに来るかもわからないし、ただ会えるだけでラッキーくらいに思っておかないと。


七瀬さんに少し憧れる気持ちはあるけれど、今は見てるだけで十分だから。

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