その名前を聞いて、少しギクッとしてしまう。


「あ、うん。特に何も」


「えーっ。もったいない。大橋くんも結構イケメンだったじゃん」


「うーん……」


「もしかして、あんまタイプじゃなかった？」


「う、うん。あんまり……」


私的に、大橋くんにはあんな感じで無理矢理言い寄られたのもあって、あまりいいイメージはなくて。


だけど大橋くんの友達である来栖くんとイイ感じのノンちゃんにはそのことはなんとなく言えないままだったりする。


「そっかー。たしかに椎奈はどっちかっていうと、あの店員のお兄さんのことばっか見てたもんね」


そしたら急にノンちゃんが思いがけないことを口にしたので、ドキッと心臓が跳ねた。


「えっ！　そ、それは……っ」


「たしかにあの店員さんは超絶イケメンだったよね～。歳も、大学生くらい？　なるほど。椎奈はああいう年上がタイプなのか」


「いや、あの、タイプというか……。ちょっとカッコいいなって思っただけだよ」