「今日も張り切って授業と言いたいところですが、皆さんテスト頑張ったし、そろそろ席替えをしようと思います」

「「おぉーっ!!!」」



一時間目は担任である野木先生の英語。…の、はずだった。

歓声や拍手で沸き上がるクラスの中で、わたしもつられるようにして拍手をした、けど。



「さっ、紗和ちゃん…」

「…そうよねひな、わたしも同じこと考えた」

「私この席大好きだったのにぃっ!」



二年生になってからずっと五十音順の席だったから、わたしは今までひなと前後だったのだ。

口をへの字にして残念がる彼女に少し笑ってしまったけど、残念なのはわたしも同じ気持ちだった。



(…ふふっ)



こっそり視線を伊織にやると、心底興味なさそうにあくびをひとつしていた。

…人気者の成瀬くんだだ崩れのさまが可笑しくて、下唇を軽くかんで笑いをこらえた。