「ええ。音羽は人混みいけんの?」



信じられないというほどにわたしを見つめる翼くんに。



「いやいや、そんなこと言わずに入りましょうよ!」



せっかくなんだから。

オムライス食べたいじゃない!



わたしの熱意に「…おう」と翼くんは渋々という風に頷いた。



───カランカラン




ドアを開けるとベルが鳴った。

店の中にはシャンデリアがつるされていて、とてもオシャレ。

クラシックな音楽まで流れていて、居心地も抜群。


すてきな店だ……!



しかもこっちを向いた店員さん、とっても美人!



って…、ん?



「いらっしゃいませ〜…って、翼?!」



まさか、まさか。




「は?梨紗?」



その人が、会長の、元カノだなんて思いもしなかったんだ−。