──── そして、今に至る。





「じゃあ、行ってくるわね〜」


「元気でな、音」




運転手さんが準備していた車に乗って、パパとママは笑顔でわたしたちに手を振った。

ああ、ついに行ってしまった。



玄関のドアがパタンと閉まって、そんな思いにとらわれる。



「名前。音羽、だっけ?」



ドアをじっと見ていたら、会長様が話しかけてきた。



「あ、そうです。音羽で大丈夫ですよー」



変に意識しないことにしよう。

こうなったらあとの祭り。


いつも通りのわたしでいこう、と心に決める。