「杉久保さん、さっきはごめーん」
予鈴が鳴って教室にもどると、蓑島くんが「申し訳ない!」と、手を合わせている。
「杉久保さんがそんな大ケガをしてるとは知らなんだ。悔やまれる!」
「あ、いいの、それは。今は大したことないから」
「…ひょっとして、それがサッカー辞めた理由?」
「え…」
胸がズキッとさせられる。
それは、追憶の苦い出来事とリンクさせられるので。
いきなり、鋭いな。
「え…え、まあそんなとこ。女子サッカーの世界、厳しいから…」
「ふーん…」
そう言って、何となくはぐらかしてる私をじーっと見てくる。
その眼差しは…いつものお調子者の蓑島くんの目ではなく。
ちょっと真剣で。
何か、勘繰られてるような…。
「………」
「………」
お互い、少し沈黙したのち。
蓑島くんの方がブッと笑う。
「…ま、今度からは足掛けんのは中止で。スカートめくりで行くからシクヨロ」
「スカートめくり?…死んでもさせない!バカ!スケベ!」
「おっぱいもいいけど、パンチラもいいなー。いちご柄のパンツでも履いといて」
「いちご柄…探すの難しいって」
この…セクハラ大魔王!
…こんなにお調子者でおふざけしていて。
こんなにも、セクハラ大魔王なのに。
彼はやっぱり、超絶イケメン。
カッコいい。
それが、ミスター。
蓑島くん。