死り神が、うつ伏せに倒れている。


椅子が横っ面を強打したのか、呻いて起きれないようだ。


声からすると、やっぱり男だ。


というか、そもそも私たち人間の攻撃が当たるの?


もっとこう、神さま的な感じで、物理的な攻撃は通用しないと思ったけど__?


「お、おお、おりゃー!」


わけの分からない雄叫びを上げ、悠馬が手にしていた椅子を、死り神の腰に叩きつける。


何度も何度も、椅子がばらばらに砕けるまで何度も。


肩で大きく息をする悠馬と、まったく動かなくなった死り神。


まさか、倒した?


倒せば、殺されなくてもいいの?


淡い期待を胸に、私たちは少しずつ死り神に近づく。


「正体、暴いてやるか」


そう言って、悠馬が死り神のお面に手をかけた。


一体、どんなやつが明香を殺したのか?


ごくりと唾を飲み込んで、その正体が明らかになる瞬間を__。


「うわっ!」


突然、起き上がった死り神が、悠馬の手を掴む。


あれだけ腰を強打されて起き上がるなんて、やっぱり人間じゃない!


なんとか手を振り払った悠馬は、教室から飛び出していく。


「悠馬!逃げろ!」


新田くんが飛ばしたゲキに、悠馬が振り返る。


そしてそれは、あっという間の出来事だった。


立ち上がった死り神が、握りしめていた鎌を投げたんだ。


悠馬の顔めがけて__。