受け取ったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、礼を言う。


「あ、ありがとうっ。椿くんって、優しいんだね」


嬉しさのあまり、思わずそんな言葉が口からこぼれた。


するとそれを聞いた椿くんは、一瞬驚いたように目を大きく見開いて。それからパッと視線を横にそらす。


「……べつに。ただ、心音のこと喜ばせたかっただけだよ」


「えっ……」


続いて彼がボソッと口にしたその言葉に、ドキンと心臓が音を立てて飛び跳ねた。


なにそれ。私のことを喜ばせたかったって、ほんとなの……?


どうしてそんな嬉しいことを言ってくれるんだろう。


どうして……椿くんは、私なんかにこんなに優しくしてくれるのかな。


わからない。


だけど、なんだか胸がドキドキする。


こんなふうに男の子に優しくされるなんて、初めてだから。


もう彼のことを、怖いとか苦手なタイプだとか、そんなふうには思わない。


自分の中で、椿くんのイメージがまた塗り替えられていくような気がした。


.



*


.