ん?


ふと視線を感じ、振り返った。


でもそこには、誰もいない。いないけど、誰かが私のことを見ていたような__?


「どうした?」


「なんでもない」


私は傾げていた首を、達実に向かって振った。


最近、似たようなことがよく起きる。


気にし過ぎだろうか?


こうやって大っぴらに達実とデートできるようになったことに、まだ不慣れだから?過剰にひとの視線が気になるのかも__?


「今日の優子も、可愛いじゃん」


女子が喜ぶセリフを、達実はなんなく口にする。


その優しさが、今の私にとって1番の心配事だった。


安奈が居なくなり、島谷も消えた。


舞香が事を荒立てないと約束し、その代わりに学校を辞めさせられたんだ。つまり、邪魔者を追い出したというわけだ。


いじめられていた時に、まったく助けてくれなかった島谷を、舞香は以前から憎んでいた。


その行動力には目を見張るけど、それで快適な高校生活が送れるんだ。感謝しかない。


「最近、おしゃれだしさ」


「そうかな?」


とぼけてみたけど、全身ブランドもので小物もおしゃれに揃えてある。


どれも舞香からシェアしたものだ。