スマホを壊したお詫びとはいえ、よく知りもしない相手に彼女のフリを要求するなんて、ちょっと変わってるような気もするし。


男子校で、あまり女の子の知り合いがいないからなのかな?


でも、あれだけイケメンでモテモテなら、頼む相手は他にいくらでもいそうなのに。


彼が何を考えているのか、いまいちよくわからない。


彼女のフリって言っても、どんなことするのかわからないし。


変なことされたらどうしよう……。


考えれば考えるほど、不安しかない。


それに私、なんとなくだけど、彼とどこかで会ったことがあるような気もするんだよね。


気のせいかなぁ……。


するとそんな私の元に、いつものように彩実ちゃんと優里亜ちゃんがやってきて、声をかけてきた。


「おはよう、心音」


「おっはよー!」


「あ、二人ともおはよう」


私がそう言って顔を上げると、彩実ちゃんが心配そうな表情で聞いてくる。


「ねぇ心音、なんか浮かない顔してるけど、何かあった?」


そう言われてドキッとする私。


やだ、私ったらそんなに顔に出てたかな。