穏やかな笑顔。


それだけ私を気に掛けてくれていたんだ…ということを感じて、すごく嬉しかった。


「心配してくれてありがとう。それから、この毛布も…ありがとう」


「この季節、まだ夜は寒いから。風邪ひいたら大変だろ」


畳もうとしていた毛布を壱夜くんはヒョイッと取り上げた。


「毛布を部屋に置いてきたらコーヒー淹れるけど、莉彩も飲む?」


「う、うん…。あっ、私が淹れようか?」


「お前は、ゆっくり休んでろ」


命令的な言葉なのに、声も表情も優しい。


小さく頷くと、壱夜くんは毛布を抱えてリビングを出て行った。


毎年、お父さんの命日の夜は全く眠れなかったのに…。


あの日の夢を見ることもなく、熟睡してた。


きっと、心の中に閉じ込めていたものを壱夜くんに打ち明けたからだよね。


なんだか、少し心が軽くなった気がする。


立ち上がって背伸びをした私は、窓際に移動してカーテンを開けた。