「…畜生!」

怒りのあまり、俺は壁を勢いよく叩く。

じんじんと殴った拳が痛い。

俺は、あの女から逃げられないのかな…。






思い出されるのは、俺がこっちに戻ってくるまでの記憶―――――――――――――――。






――――引っ越したばかりの俺は、転入した小学校で、友達ができず、いつも一人だった。




教室でも浮いた存在で、何人か話しかけてきてくれた記憶はあるけれど、それがどんな内容だったかなんて悪いけど思い出せない。

それは俺が、いつも真於の事を考えていて、ボーッとしていたからかもしれない。

もともと俺は、元いた町でも、真於以外しゃべるやつはあんまりいなかったから、一人でいるのにもなれていた。

まぁ、卒業式は一人だけ泣けなくて、ちょっとアウェイ感はあったけれど。