「本当にかわいいね。ずっと白野さんに会いたくて仕方がなかったから、今目の前にいるのが夢みたいだ」

「……私だって、会いたかったもん」


一応連絡や電話をとっていたけれど、神田くんは少し忙しそうで。

さらにはお兄ちゃんが見事に邪魔をしてきたせいで、会える時間を設けられなかったのだ。


一度神田くんの家に泊まった時、お兄ちゃんには“友達の家に泊まった”と言ったけれど信じてくれず。

結果、より見張りが厳しくなったのだ。


「お兄さんが厳しい人なんだよね?」
「うん、そうなの…厳しいというか、心配性で」


本当はシスコンと言いたいけれど、自分で言うのは嫌だからあえて黙っておく。


「きっとかわいい白野さんのことを心配してるんだね。俺だってもし白野さんの兄妹だったら、シスコンになるだろうなぁ」

「か、神田くんが…?」


神田くんがシスコンだなんて、想像がつかない。

もしそうだとしても、きっとお兄ちゃんよりはマシだろうと言える自信があった。


「だって白野さん、良からぬ男に捕まりそうだし」

「えっ…」
「実際捕まってるけどね?」


ニヤッと、口角を上げて悪そうな笑みを浮かべる神田くんに胸がドキッと高鳴った。


「そ、んな…神田くんは良からぬ男だなんて」

「良からぬ男だよ。白野さんはもっとまともな恋愛をするべき人なのに」

「まともな恋…」


確かにこれが一般的な恋愛かと聞かれたら、少し違うかもしれない。

けれど───


「神田くんとなら…まともな恋愛じゃなくていい」


彼を好きになってしまったのだから、この想いはもう止められない。

たとえ時間が戻ったとしても、私はまた彼といることを選ぶだろう。