今日も不埒な男が、私の可愛い小鳥に近づいてきた。


「松井さーん。これ、ノート集めてるんだよね?」


でれっと鼻の下を伸ばしたクラスメイトの男子が、数学のノートを差し出す。

それをにこやかに受け取ったのは、私の幼なじみで親友の、松井小鳥だ。


「うん。ありがとう、山田くん」


ふわふわの長い髪を揺らして小鳥が微笑めば、見惚れない男はいない。

案の定、ノートを差し出した山田だけでなく、周りにいた男子も小鳥に目を奪われ、そろってマヌケな顔をさらしている。


「あ、あのさ! ノート運ぶの、俺、手伝おうか!」

「え? ううん。そんな、悪いよ」

「だって松井さんみたいなか弱い女子が運ぶの、大変じゃん?」

「大丈夫。私、こう見えても力持ちなの。でもありがとう」


小鳥はこうしてきちんと断っているのに、山田はしつこく「遠慮しないで!」と食い下がる。

可愛い小鳥に近づきたくて、男子はみんな必死なのだ。


そしてここで、私の出番である。