近くにいないか確かめようと周りを見渡してみたら、やっぱり今日も輪の中心で笑ってた。



中島くんの笑い方は、周りの男子みたいに下品じゃない。ひゃひゃひゃとかギャハハとか言ってない。

皆と同じようにちゃんと口を開けて、肩を揺らしながら笑ってるのに、何がこんなに違うのかなって凝視してしまう。




楽しそう。屈託ない。笑ってるときだけ、ちょっと子供っぽく見える。

これも、作りものだったりするのかな。




そう思った瞬間、とっさに目を逸らしたのは、中島くんがこっちを見る気配がしたから。

私の視線に気づいたわけじゃないかもしれない。ただ、なんとなく顔を上げただけとか。




だけど、目は絶対会いたくない。“俺を見てた”って思われたくないから。

間違っても意識してるって勘違いされたくないし、むしろ軽率にあんなこと仕掛けてくるから、嫌い度が増した。





「中島くんとだけは隣になりたくない……」


ぼそっとこぼしたら「えー、なんで?」とミカちゃん。




「嫌いだから」

「それ、フラグになっちゃうかもよ」

「フラグ?」



聞き返すと、にやっと笑われた。




「イヤイヤ言ってることほど現実になりやすいじゃん? って」