スラリと背が高くて綺麗な顔の冬は、思わず見惚れてしまうくらいカッコイイ。

すっかり秋も深まってきたというのに、日焼けの抜けない色黒でがっちり体型の夏も、周りの女子社員に騒がれるくらいカッコイイのだけど。

チラ、と向けた視線の先にある、冬の優しい微笑みが──私は好き。

ふんわりと、温かい気持ちになれる。

でも……。



「秋の生まれた日に、かんぱぁ~い!」

一時間ほど経って、何度目かのその言葉を叫びながらグラスを高く突き上げる春は、すでに出来上がっていた。

「もう、またお前は! ちょっとは学習しろよー!」

シャンパンの入ったグラスを取り上げ、背中をさすりながら水の注がれたコップを春に持たせる夏。

「だってメデタイし、おいしいし~」

にこぉっ、と夏に微笑みかける春の頬は、ほんのりピンク色。

それはお酒のせいだけじゃないって、知ってる。

好き……なんだよね。

でも訊いても正直には答えてくれないと思う。それは肌で感じていた。

だって……私も、答えられない。

その気持ちを口にしたら、この関係は崩れてしまうから──。

友情という鎖で繋がれた4人の関係は、頑丈なようで酷く脆いものだと思う。誰かが本音を口にすれば、あっという間に、崩れてしまう。

……そんなのは嫌。

この居心地の良い空間を、壊したくない。

壊したくない……のに。

私の目は、どうしても追ってしまう。

優しく春を見つめる、冬の姿を……。