ふゆみが言った言葉の意味を、すぐには飲み込めなかった。しかし、この状況で"初めて"って事は、ちょっと信じがたいが、

「キス、した事ないの?」

 と、なるわけだが、うそだろ!

「うん。26歳にもなって、おかしい?」

「いや、おかしくなんかないよ。ちょっと驚いたけどさ」

「ううん。私こそ、ごめんなさい。男の子と付き合った事って、一度もないから……」

 そうなんだあ……って、ちょっと待て。という事は、ふゆみはバージンって事だよな。キスよりもっと大事な"初めて"が、俺でいいんだろうか。

「ふゆみ」

「ん?」

「この後、もっと大事な"初めて"を経験するって事、分かってる?」

「うん、わかってる」

「俺でいいのか?」

「いい。裕くんで」

「本当に? 後悔しない?」

「後悔なんかしない。絶対に」

「そうか」

 ふゆみがそこまで言うなら、いいか。

「出来るだけ優しくするけど、あの時はかなり痛いらしいんだ。我慢してくれる?」

「うん、我慢する」

 俺はふゆみの頭を撫でながら、ゆっくりとふゆみの唇に俺のを重ねていった。さっきとは違い、ふゆみの唇は柔らかくて、甘かった。

 そして、ふゆみの雪のように白い肢体に指と舌を這わせ、ふゆみの口から甘い吐息が漏れ出したのを確認すると、俺はゆっくりとふゆみの中に入っていった……


「大丈夫か?」

「うん」

 ふゆみは俺の胸に顔を埋め、その髪を撫でていたら、すぐに規則正しい寝息を立てはじめた。

 ふゆみにつられるように、俺の瞼も重くなり、やがて眠りに落ちていった。

 恋って、すげえいいもんだな、と思いながら……