「諦めてください。」

「…え?」

私は、医師の突拍子もないその言葉に心臓が

強く脈打った。

「どうして…ですか…?」

「どうもこうもないですよ。本来ならもう踊

っては駄目と言いたいくらいですよ。」

すると、医師は先程撮ったレントゲンを見せ

る。

「これね、足関節骨折って言いまして、貴方

の場合、骨折してますが骨にズレがあるから

今は動けています。」

「じゃ…じゃあ、大したことないんですよ

ね…?」

すると、医師は少し間を取りゆっくりと口を

開き言った。

「もし、骨折の際に折れてる靱帯が切れたり

伸びた状態のままになると足関節が不安定と

なり、痛みが残ったり関節軟骨が傷んでしま

う変形性関節症へと移行することがありま

す…。下手をすれば…。」

『踊れなくなるどころか、歩けなくなります

よ。』