その日以来、何かと光と仕事をする機会が増えた。

それと同時に、光はやっぱり凄い人だと思い知らされた。迅速、軽快、臨機応変。

誰からも好かれ、信頼を得る。営業部のエースと言われるのも納得した。

裏では、驚くほどの努力を共に仕事して、知らされた。

「早乙女さん」
「んー?」

二人で残業をしているとき、仕事に集中している光に、休憩室で買ってきた缶コーヒーをデスクに置いた。

「…これ」
「遅くまでお疲れ様です」

私の言葉に光は微笑んだ。

「それは、お互い様だよね」
「私は、ただただ、事務処理をしているだけなんで」

「そんな事ないよ。営業部の奴等ってさ、外回りばっかりで、それが終わってから事務処理だろ?毎日毎日残業ばっかりで。でも、事務サポートの明日香ちゃん達がいるから、残業も減って、どれだけ助かってるか。この間なんか、明日香ちゃんが、事務処理をしておくからって言ってさ、安藤泣いて喜んでたよ。彼女と別れずにすんだ!って」

実際にそんな事を聞けると、私も少しは役に立ってるんだと嬉しくなる。

「俺だって、明日香ちゃんに凄く助けられてる。ありがとう」
「いいえ。私は当たり前の事をしてるだけです」