そう。実を言うと、あの紙をカーディガンのポケットに入れっぱなしにしていた私は、そのまま出し忘れてカーディガンと一緒に洗濯してしまったんだ。


だからもう、彼の連絡先はわからない。


「なにそれ~!もったいない。理由話してもう一回聞いてみたら?」


「何言ってるの、別にいいよ。もとから連絡するつもりなかったし」


「え~っ」


璃子はすごく残念そうにしてるけど、私はどちらにしろ彼とこれ以上関わるつもりなんてなくて。


その後、特に顔も合わせていないし、彼もきっと私に連絡先を教えたことなんて忘れてるだろうと思ってた。


「それより璃子、バイトの時間大丈夫?」


「あっ」


私が問いかけると、ハッとして時計に目をやる璃子。


「やばい、急がなきゃ遅刻しちゃうじゃん!それじゃまったね~!」