「……バカ…」



自分が、一番。
どこまでもバカだ。



目の前の人は、私のことをわかってくれているのに。



その人でさえ傷つけ、利用してしまった私はとことんバカ。



ダメだって、わかっていても手を伸ばしてしまう。
そんな弱い自分が嫌になる。



「……俺のことを考えて泣くな。
これ以上余計なことでお前が苦しむ必要ねぇだろ」



“余計なこと”じゃないよ。
どうしようもなく重いことだよ。



「…ごめんなさい……」



こんな私で、ごめんなさい。



あんたが好きになった私と、今の私はとことん全然違うんだ。



なのにそばにしてくれようとする楠木のことを、私は傷つけることしかできないなんて。



それが何より悔しいのに、どうしようもできない。