「彼方くんカッコいいから他校でも結構知られてるみたいだし、モテるから妬まれたのかな~?なんか、人気者もなにかと大変だね」


そう話す璃子はやっぱり、事の詳細は知らないみたい。


ということは、私がかばったことも知られていないってことかな。


「う、うん。大変だね」


「とりあえず、顔に傷残ったりしないといいんだけどね~」


「そうだね」


彼女は一ノ瀬くんの顔のケガのことをやたらと気にしていたけれど、自分もそのことを思うと、なんだか再び申し訳ない気持ちになった。


あんなイケメンの顔にもし傷が残ったりしたら、うちのお兄ちゃんの罪は相当重いよね。


お兄ちゃんには一ノ瀬くんが人違いで殴られたことも一応話しておいたけど、ちゃんと申し訳ないとか思ってるのかな。


まったく……。