「言い訳。必死ですね。」

「言い訳ではない。本心だ。」

「はいはい。」

 あろうことか支社長様に八つ当たりする。

 ……いいよね。別に。
 どう思われようと仕事以外は彼にどう思われようとどうでもいいんだから。

「上司に横柄な態度を取るとは西村さんもなかなかだね。」

 横柄な態度だって私へ怒ってもいいはずなのに爽やかな顔で言われて視線をそっとそらした。
 急に居心地が悪くなって話題を変える。

「松嶋工場長とは昔からのお知り合いですか?」

 倉、松嶋と呼び合う間柄の二人は松嶋工場長はもちろんのこと、倉林支社長もどこか砕けた印象的を受けた。

「あぁ。そうだな。大学の同期生だ。」

 その大学はすごかっただろうな。
 モーゼが海を割ったみたいに彼らが通る前には人がはけて道が出来てそうだ。