「萌。お前……何か勘違いをしていないか?」

「えっ?」

「俺は、生まれつきのサイコパスだ!」

こちらを見るとニヤリと笑う副社長。

サイコパス……?
それって……精神病の一種よね。

「俺は、小さい頃から人としての感情が
欠落していた。赤ん坊の頃から
特に双子の兄である響夜を泣かすことが
好きで仕方がなかった。
母親は、何となくだが気づいていたのだろう。
よく俺を気にかけて、それでも他の兄弟と
同じように愛してくれようとしていた」

「俺自身もその症状に困惑して隠していた。
しかしあの事件が俺の眠っている病状を
開花させてしまった。
あれは、ただのきっかけに過ぎない。
俺は、元々人を人だと思ったことがない。
響夜も例外ではない。
アイツを貶めることが俺の快楽だ!」

そう言い冷たい表情で笑った。

あの時みたいに……。

ゾクッと背筋が凍る。
冷たくて見下した目は……恐怖を覚えた。

お母さんが言っていた
本当は、甘えたいだけの……不器用な人ではないの?

「なぁ萌。俺がここに連れてきた本当の理由を
知りたくないか?
もっともお前を貶める方法だが……」

そう言うとジャリッと
音をたてて私に近づこうとした。