私は去年の夏、海辺で透哉と出逢った。

あの時、透哉に出逢っていなければ きっと 私は今 ここに居ない。

絶望の淵に佇んでいた私に 手を差し伸べてくれたのは 透哉だった。

「透哉には色々な面があって、その全てが好きだとは言わない。

でも 好きに思えない部分だって、欠けて仕舞えば もうそれは透哉じゃなくなってしまうんだよ。

そんな部分なんかよりも好きな部分の方が遥かに多いから どれだけ嫌なことを言われても 透哉のことを嫌いにはなれない。」

きっと私が出したい結論は一つ。

「私は透哉のことを嫌いになんてなれない。
それどころか、まだ 大好きなんだ。」

思っていることが全て 口から出たことで スッキリとした。

普段から愚痴を垂れ流す子の気持ちが少しは理解できた。

「でも、だからこそ 苦しいんだ。」