「え……」

思わず目を見開き、眉根を寄せる。

先生がなにを私に確認したいのかわかった。

森井くんたちに私が虐められているんじゃないかって思っているんだ。



「そんなこと、されていません」

「本当か? もしも悩んでいるのなら先生たちが力になるから話してくれ」



下唇を噛み締めて首を横に振る。


違うよ、先生。

先生が本当に力になるべきなのは木崎さんだよ。

苦しんでいるのは彼女なのに、どうして加害者だと疑うの?



先輩との件だって、木崎さんたちが悪いわけじゃないのに信じてくれないの?




「私っ、虐められてなんていません。……みんな優しいです」

「だが、目撃者もいる。怖くて本当のことが言えないんじゃないか? 誰にも言わないから、正直に話してくれ」

「違います! せ、先生……私の話じゃなくて、木崎さんの話を聞いてください!」


私がどこまで話していいのかわからない。

だから、これしか言えないけれど、木崎さんの声を聞いてほしい。



「……小宮、森井たちの件はまた改めて聞く。引き止めて悪かったな」


踵を返して先生は去って行ってしまった。


伝わらなかった。

喉元をぐっと抑える。


きっと私の言葉が足りなかった。

どうして上手く言えないの。どうして守れないの。