涙目になる私。
本当は俯いて、多分真っ赤であろう顔を隠したかった。
でも頑張って大輝くんを見る。
大輝くんは私を見て優しく笑った。
その笑顔はいつまでも見られるくらい、綺麗だった。
すると大輝くんはコツン、と私と額を合わせた。
「………遥。」
私の名前を呼ばれただけなのに、胸が高鳴る。
それぐらい愛おしい存在の彼。
「は、はい………。」
「俺、言葉では表せないくらい遥が好きだ。
好きすぎて……本気でやばい。」
え?
どういう意味かと聞き返そうとした時にはもう大輝くんは私から離れていて。
「じゃあ、また明日な。」
もういつも通りの彼に戻っていた。
だから私もそれ以上何も言わずに、
「うん!また明日。」とだけ言って今度こそ改札を出た。
さっきの自分がしたことと、その後のことを思い出すだけで心臓がうるさくなって、穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。
だから一回も大輝くんの方を振り返らず、ただ真っ直ぐ歩いた。
それに大輝くんも帰っていると思っていた。
結局大輝くんを照れさせることはできなかったけど、気持ちは伝えれたかな……。
一応作戦成功、ということでいいのかな?
なんて考えながら歩いていた。
だから、まさか私が去った後に大輝くんが赤くなった顔をおさえながら
「まじで我慢の限界……あんなの普通耐えられるかよ……?」
なんて言っていたなんて、私が知る由もなかった………。