怪訝な顔をして矢敷さんが私の方を見てから、顎に指をあてる。
名探偵のポーズだ。

ていうか、考えないと出ないものなのか。

「特にこれと言ってないかも」

「ないんですか?」

「すごいロマンチックなこと言いますね」

矢敷さんはにこりともせずに前置きをする。

こっちは全然構えが出来てないけれど、言葉が続けられた。

「誰かとずっと一緒にいたいと思うことに、理由が要りますか」

先輩がハッとした顔をして立ち上がる。

「矢敷が惚気てる! みんなに報せに行かなきゃ!」

「やめてください」