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「そうだ……」

私は気づいたんだ。

必死に笑顔を繕っても意味がないのなら、努力したって私を蔑む人間が消えないというのなら、最初から必要がないと思えばいい。

「言いたい人間には、言わせておけばいい」

心無い言葉に傷つかないように、心に、世界にそっと蓋を閉じようと決めた。

私の歩く道が、太陽が当たらなくて、足元が見えない暗闇の中でも構わない。

そう、私が望んで、この暗く光のない孤独な道を行くと決めた。

「そういえば……あの絨毯を作ってくれたのって、誰だったんだっけ」

結局、思い出せないままだったけど、別にいいか。

もしかしたら、まだ居場所が欲しいと思っていた頃の、バカな私が見た夢なのかもしれない。

「きっとそうだ」

そう呟いて、私は学校に近づくほどに喉がつかえるような、嫌な感覚を味わいながら、一歩一歩、重い足取りで進む。

きっとそれが本当の記憶だったとしても……。



「今の私には、もう必要のない、美しすぎる記憶だ」