「分かったら、さっさと帰れ。そんなとこで座りこんでいたら、コンビニ側にも迷惑だろ」


「あのっ…」


ヨルさんは、私から視線を外すとスタスタと店内に入っていった。


最後は怒られちゃった…。


ゆっくり立ち上がった私は、店内で買い物をしているヨルさんを目で追う。


結局、お礼も言いそびれてしまったな…。


感謝の気持ちを込めて、彼に向かって頭を下げる。


全くこちらを見ないまま、商品を見てるヨルさんに背を向けて、私は帰り道を歩き始めた。


あの人、一体…何者なんだろう?


不良たちが怯えて逃げ出すなんて、よほど怖い人なのかな?


吐いた白い息が、夜の空気に溶けた。


なんだか、無愛想で冷たい雰囲気の人だったけど…


最後には他のコンビニの場所まで教えてくれたし、根は優しい人なんだろうなぁ…。


頭の中に、不良たちに助けてもらった時の光景が浮かぶ。


トクン…と鼓動が波打つのを感じた。


また、会えるといいな…。