「わ、私もべつに……平気だよっ。

気を使ってくれて、ありがとう……」


私がそう言うと、目を見開いて数秒黙る碧空くん。


だけど次の瞬間、フッと優しく笑うと、照れくさそうに右手で頬を掻いた。


「いや、気を使ったっていうか、一緒に帰りたかったのは、ほんとだし」


……えっ。


「じゃなきゃ、待ってたりしないよ」


サラッと告げられたその言葉に、一瞬耳を疑う。


顔がかぁっと熱くなって、心臓がまたドクドクと激しく音をたて始めた。


……ねぇ。ねぇ、なんで?


どうしてそんなことを言うんだろうって。


碧空くんは、私と一緒に帰りたいから待っててくれたの?


なんかまるで、それって……。


ふと、自分の中に変なうぬぼれのような感情が湧いてくる。


だけど私は、慌ててそれをぐちゃぐちゃとかき消した。


そんなわけ、ないよね……。まさかね。


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