「よーし!まずは怪我の手当をしないとっ!」



ノリノリで洗面所でタオルを水につけて絞って、あんまり使われていない棚に置いてある救急箱を用意する。



手当てしてる間に、男が顔を歪ませてはピクリと動くから
起きるんじゃないかって内心ドキドキ。




でもそのままにしておくと、傷口がもっと広がっちゃって大変なことになるから...



なんて言うのは言い訳なのかもしれない。



人を助ける事によって、寂しさを紛らわせてるのかもしれない。



私の家には両親がいない。


二人とも私を置いて車と車の衝突事故で一年前に他界してしまった。



唯一残してくれた遺産がこの家と家具で
私はここで一人暮らし。





最初はこの家に1人で暮らす事に親戚には反対されたけど
なんとか押し切ってここに居させてもらってる。




お母さんの兄弟がとても優しい人だから
私を不自由させたくないと思っているのか
生活費はいつも余っちゃうぐらい振り込んでくれているし




保険金がちょっとはあるから、それで生活費を出そうとは思ったんだけど
将来の為に貯金しときなさいと言われた。



それに、寂しかったらいつでも『家においで』なんて言ってくれたから
あの時は涙が止まらなかった。