「ごゆっくりおくつろぎください」




そう言って見送られた私は、自室にある専用の浴室にいた。
さすがは王宮といえばいいのか、個人用の浴室があるなんて驚きだ。


それも、そこそこに広々とした温泉規模のお風呂。
ちょっと落ち着かないんですけど。


この世界って、これが当たり前なのかしら。




「でも、気持ちいいかも・・・」



お風呂にはバラの花びらが浮かんでいて。
バラの香りが浴室に香る。

いい匂いで穏やかな気持ちになれる。




こんなはずじゃなかった。
そんな思いは消えないけれど。




お母さんの故郷。
そう思えば、少しだけ気分も晴れた。



お母さんも、ここで育ったのかな。
王女として生きていたのかな。


だとしたら。
この世界からいう異世界である地球に飛ばされ、どう思ったのだろう。
お母さんは、あの世界で幸せだったのかな。